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吹雪の地図

吹雪SS
あーいう社会人的セミナーとか受けた人じゃないとわからないかも

=========================================================================
(始)

<マインドマップ>
1960年代にイギリスのトニー・プザンが発案、提唱した記述法です。
ノートの中央にキーワードを配置し、それに関わる言葉や絵をツリー状に配置することで情報の整理を行います。
近年、ビジネスの現場において発想、記憶、連想の手段として活用されているようです。

そして現在、私が試みようとしている手法です。

まず私の名前、「吹雪」とノートの中心に書きます。
続けてキミの名前を――書こうとした時に、何かが私の中で震えました。
頭部に熱を感じます。小さな妹達に触れられた時と類似していますが、
それよりも熱く、頭の奥が甘く痺れるような感覚、

いつからか、いえ、正確には2007年12月24日から私の中に生まれたエラー
私はこのエラーの原因を究明し続けています。
現在までに数多くの手段を試し、未だ答えは得られません。
今回の試行で糸口が見つかればよいのですが――

私の隣に並べたキミの名前、
そこから関連する単語を枝葉のように書き連ねていきます。

"男性"
"長男"
"不確定"

もしいつか――
このエラーの正体が判明したら――

"興味"
"熱"
"接触不可能"

キミと――
自由に触れ合うことができるのでしょうか――

"ヒカル姉と仲が良い?"
"遊園地が好き"
"私の話を熱心に聞く"

単語を書き連ねるにつれて、私の思考は加速します。
予想外の言葉を私のペンが出力し、驚かされる時もあります。
頭部の熱が高まっているようです。ですが今は文字を書くことが興味深く、静止することが出来ません。
おそらく私の今の状態こそエラーと呼べるものなのでしょう。
そんな思考すら今の私には楽しくて、ペンを走らせ続けていました――


三十分後、私の図はノート一杯に膨れ上がっていました。
キミを表す単語が次から次へと溢れ出し収集がつきません。

ですが現状の図から答えと呼べるものは見つかりません。
手順を誤ってしまったのでしょうか? 考える私に声がかかりました。

「あれ、どうしたの? 吹雪」

キミの声です。そう認識した瞬間、
私の頭はまるでファンを失ったCPUのように熱くなります。
軽いめまいを感じ、ノートを早急に閉じます。

「何でもありません――」

キミは不思議そうにこちらを見ます。ですがこのノートを見せることはできません。
現在の時点で昏倒しかねないほど頭が熱いのです。ノートを見せたら私は倒れてしまうでしょう。
キミが私の書いた図を見て何を感じるか、非常に興味深くはあるのですが……

その時、名案が浮かびました。
キミにマインドマップを書いてもらったなら――
エラーを構成する二つの要素、キミと私、双方からのデータが得られることになります。

私はマインドマップの書き方を簡潔に伝えます。

「あ、うん。よくわからないけどやってみるよ」

私が渡した別のノートを受け取り、キミはマインドマップを書き始めます。
ペンの走る音が数十秒響き、声をあげます。

「よし、できた!」

早い完成です。私の五十分の一の所要時間です。
キミのノートを覗き込んで私は驚きました。

ノートの中心にはキミの名前、
残りのスペース全てを使用して、私達家族の名前が一杯に書かれています。

「いやぁ。正直何も思いつかなくてさ。吹雪たち家族が居ればもう十分幸せだなー、って」

残念ながら、キミのデータを得ることは出来なかったようです。
しかし私は――この図をとても好ましく感じています。

キミの名を囲む私達家族の名前、その姿は太陽の周囲を回る天体に似ているように思えます。
情報量としては微々たるものです。ですがこの図には幸せで優しい空気で満たされています。
目に見える愛がキミの図にはありました。

私の名前も確かにあります。
キミの名前の左側1.2cmの距離、春風姉の1.4cmより短く、
家族の中で最もキミの名前に接近しているように思えます。
名前の面積は――目測ですが、これも私の名前が一番大きく――

――あ、また、めまいが

いけません。思考を冷静に保たなくては、
キミは何も考えずにこの図を書いたはずです。よって私の名前を意図的に大きくしたわけではありません。
そうです。私が慌てる必要はありません。キミは何も考えずに書いたのですから
仮に私の名前が少し近くにあっても、仮に私の名前が大きくても、それを書いたものは――

キミの深層心理――

「吹雪!?」

一際強い眩暈を感じ、私が覚えているのはここまでです。
気を失ったのだと後で聞かされました。

結論として
今回の調査は失敗に終わりました。
私のエラーの正体は判明せず、また疑問も深まるばかりです。
その後も幾度かマインドマップを書きましたが結果は変わりません。
よってこの調査方法は中止することにしました。

しかし一点、興味深いことがありました。
キミの描いた絵、キミの言葉、キミとの変わりない一日、
図を書く度にキミのことを表す単語が増え、ノートの面積も増加する傾向があるようです。
四度目の試行にて描いた図は繋ぎ合わせたレポート用紙五枚を超過していました。

私はいつかまたマインドマップを書こうと思います。
調査ではなく純粋な興味として――

キミと出会い、
キミと同じ時間を共有し、
キミが育ててくれた私の地図で、

一年後、五年後、十年後、
キミという存在はどれほどの大きさになっているでしょうか?
絵画のように、世界地図のように、今も膨張を続ける宇宙のように、
広がった姿を想像することが、私の楽しみとなっているようです。
フフフ♥  余程大きな紙を用意しておかなくてはいけませんね。

キミはいつか――私の地図を一緒に見てくれますか?

(終)

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akio(あきお)

Author:akio(あきお)
とってもゆるい人間が気まぐれに記事を書いたり、書かなかったりします。見てくれる方はあまりいないでしょうが、見て頂けるのでしたらありがたい限りです。
小説っぽいものを出したり、出さなかったりするサークル「妄想ワンコインスタンド」のほったて窓口。メールは aki44013あっとまーくgmail.com まで。twitterはdm_akioまで

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