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「君君臣臣兄兄妹妹兄妹曰善哉!」 (きょうだいいんたらくてぃぶ!)  

べびプリのアニメ化おめでとうございます!
珈琲みるく症候群の梅入さんがC79三日目前日にアニメ化記念べびプリ合同本を作る企画を立ち上げまして
このSSはそれに出すために仕事をしながら即興で書いたものです。

時間がなく全体的に荒いですが、楽しんで頂ければ幸いです。


(始)

 俺には可愛い家臣がいる。
 とても健気で献身的な妹だ。

 と、言われても初めての人には何のことかわからないと思う。
 少し長くなるけど出来れば聞いてもらえると嬉しい。
 この三年間俺のそばにずっといてくれたとても素敵な家族達のお話を――

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!こっちですよ!」

 元気いっぱいの声がどこからか聞こえてきた。
 大きな声にも関わらずその響きは優しく甘く耳に残る。
 顔を上げればまばゆい夏の日差しの下、水着の女の子が目の前にいる。
 小学四年生らしいどこかあどけなさを残した表情、くりくりと輝く丸い瞳、心の底の強い意志を示すかのような黒髪のお団子。中華風の活動的な水着に身を包むのは我が家の十女、星花である。

 もしかしたら十女と聞いた時点でびっくりするかもしれない、だが話はそれだけではない、聞いて驚くなかれウチは十九人姉妹なのである。長男である俺のいきさつや他の十八姉妹のことについてはここでは割愛するが、十九人皆素敵な家族の一員なので機会があったらまた話を聞いてもらえるとうれしい。ここでは健気な十女、星花について話すことにする。
 
「星花は元気だな」
「だって海なんですよ!海!」

 陽光まぶしい夏の海、熱された砂浜を星花は嬉しそうに走り回っていた。
 家族と出かけた夏の海、他の家族たちは思い思いに遊ぶ中、今は星花と二人であった。
 星花の小さな手はこちらを引っ張らない程度に「できれば一緒に」と祈るようなか弱さで俺の手の中で揺れる。
 その控えめな言葉に対して俺は星花の手をぎゅっと握ることで答え、星花の望む方へと走るのである。

 そうして辿り着いた波打ち際で、星花は水を蹴り遊んでいた。
「お兄ちゃんたのしいです!劉備様たちもこんな風に遊んだのかな?」
「位置的に海は呉の方だからなぁ」
「そうですよね……」
「でも川でこんな風に遊んだことはあると思うよ、ほら!」
「きゃっ、やりましたねお兄ちゃん!星花のご主君さまとはいえ、お返しです!」

 水をかけられた星花はきょとんとした表情を見せるとすぐに笑顔で反撃に転じた。
 星花は三国志が大好きな女の子で特に劉備、関羽、張飛の兄弟の絆に心惹かれておりそのためカンフーを習うほどである。そんな星花は兄である俺のことを兄かつ仕えるべき主君として健気に慕ってくれている。
 そんな可愛い妹にはいつでも笑顔でいてほしい、そう思う。

 そんな中、突然ぼちゃりと水音がした。
 見れば足元にビールの缶が一つ、地元の大学生らしい服装の女性が飲んだものを投げ捨てたようである。
 子供たちが踏んだら危ないので拾おうと思った時、星花はすでに女性に詰め寄っていた。

「ゴミなんか捨てたら危ないです!缶を片付けて下さい!」
「何この子?私の勝手でしょ?」
「お酒を飲むのはお姉さんの勝手ですけど、みんなの場所に捨てるのは勝手じゃありません!」
「やっかましいわね……」

 何やら大変になりそうなので割って入ることにする。
「ちょっとすみません」
「何、アンタこの子の保護者?この失礼な子きっちりしつけておいてよ!」
「今のごみは片付けますからもう捨てないで下さい。あとウチの妹は良い子です」
「あの男だけじゃなくてアンタも私をバカにするの!酒がまずくなったわ弁償しなさいお金払いなさいよ!」
「それ以上は警察でお話しましょう。あなた○○大学ですよね」
 この地方の大学名でカマをかけたら当たったようだ。
 女性の表情から酔いが引いた。フンと踵を返すと道路の方に向かって歩き始める。
 これでどうにか治められた。そう思って安心してしまったのが油断だった。

 女性が道路にあった瓶をこちらに投げたことにも気付かなかったからである。
 
「お兄ちゃん、危ない!」

 声と同時、振り返った視界には飛び込む星花の影、
 走りこんだ勢いのままその柔らかな身をひねる。
 凛とした瞳は目標を見据えたまま全身が鞭のようにしなる。
 回転しながら瞬時に打ち出された蹴りが寸分の狂いもなく瓶をとらえていた。

 クラッカーの割れるような音があたりに響いた。
 ビール瓶は星花の一撃に粉々に砕けて地に落ちる。
 星花は蹴りの態勢からよどみなく着地、瞬時に拳法の構えを取る
 厳しい瞳の見つめる先、星花の蹴りの威力に驚いた大学生が逃げるのが見えた。

 大学生が逃げるのを見届けた星花はぺたんと地面に座り込んだ。
 気が抜けたのだろうと思う刹那、聞こえてきたのは大音量の鳴き声だった。

「ぅぅううううぅ!ごめんなさい!ごめんなさい!星花があんなことを言ったから大切なお兄ちゃんをあんな危険な目に合わせちゃいました!星花は家臣失格ですお兄ちゃんごめんなさいごめんなさい」
 
 ぽろぽろと星花の瞳から涙がこぼれる。
 そう、これが星花なんだ。どんな時も健気で何事にも一生懸命で兄である自分のために尽くしてくれる女の子。それ故に時に傷つくこともあるけれど、どんな時も純粋な気持ちが星のようにきらめいて輝いている女の子。いつかその輝きはどんな花よりまぶしく咲き誇る、ずっと傍にいたいと思える女の子。そしてどんな時も笑顔でいてほしい俺の大切な妹。

 だから俺はいつもこうするんだ。

「星花」
「えぐっ、お、おにいちゃ…せいか……」
「星花が言わなかったら俺が言ってた、だから一緒。そして星花のしたことは敵の攻撃から主君を護っただけ。
 つまり――」 
 俺は精一杯威厳のある声を腹の底から絞りだすと
「星花――大義であった!主君として三国一の家臣を持ったことを幸せに思うぞ!」
「あ、あ……、おにいちゃん……」
「本当にありがとう星花」
「お、おにいちゃん!大好きです!」

 そして俺は飛びついてきた星花を抱きしめた。
 泣き顔の星花はもういない、嬉し泣きの星花だけがここにいる。
 泣き顔の星花も可愛いけどやっぱり星花は嬉し泣きの方がずっといい。
 涙の雫が星花の笑顔に星のように輝いてとても綺麗だ。
 だから俺は星花にいつも笑顔でいてほしいと思っている。

 俺には可愛い家臣がいる。
 とても健気で献身的な妹だ。
 そして主君の俺は可愛い家臣のことを
 ずっと守りたいと思っている――

(終)




べびプリ三周年おめでとうございます!アニメ化おめでとうございます!
全体的に荒すぎて何やら自分では不安いっぱいですが、たまにはこういうのもアリなんじゃないかと思ってます。
いつかリファインできたらいいなと思いながらとりあえずは公開しておきます。

そしてこの機会を頂いた珈琲みるく症候群の梅入さん、ネタを下さったTrue Sister Freedomの26さん、
本当にありがとうございました!

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akio(あきお)

Author:akio(あきお)
とってもゆるい人間が気まぐれに記事を書いたり、書かなかったりします。見てくれる方はあまりいないでしょうが、見て頂けるのでしたらありがたい限りです。
小説っぽいものを出したり、出さなかったりするサークル「妄想ワンコインスタンド」のほったて窓口。メールは aki44013あっとまーくgmail.com まで。twitterはdm_akioまで

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