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ホタの幸せについて本気だして考えてみた

ホタお誕生日分SS
長男一人称。
本当につくづく最近は時間が遅すぎて、
来年に出した方が良いのではと思いながら絶対に忘れるので
時期ハズレにあえてだしておきます。

==================================================================================
 (始)


 ホタの幸せって何だろう?

 気が付けばいつもそんなことを考える。
 我が家の五女 蛍、愛称ホタ、ほんわかとした笑顔で驚くほど欲が無い。
 二十人以上になる我が家の食事、洗濯、掃除の家事一般を春風さんと一緒に担当し、
 それらの大変な作業をつらい顔ひとつせずにこなして、
 俺が顔を向ければ笑顔を返していつも元気をくれる。

 春風さんは、その、ちょっと、時々
 気持ちの発露が激しすぎるぐらいだけど、

 ホタは自分のしたいことをあまり口にしない。
 ちょっと対応に困る料理を出してきたり、
 コスプレをお願いされることぐらい。

 基本的にどんなお願いをしても二つ返事で「はい」と答えてくれる。
 俺の言葉にホタが頷いて、YESの意思表示と共に花開く優しい笑顔、
 その笑顔が俺はとても大好きだけど、時折――胸の奥がちくりと痛む。

 ホタの笑顔に甘えるばかりでいいのだろうか?
 俺はホタから優しさをもらいっぱなしでいいのだろうか?
 って、
 
 そんな風にして訪れた今日2/12、ホタのお誕生日。
 俺は一つの決意を固めていた。

 せめて今日ぐらいは、
 ホタが生まれた今日ぐらいは
 ホタの幸せを本気で考えてみようって――
 ホタに最高の幸せをプレゼントしてみようって――
 そんなことを考えていたんだ。

 だけどこの計画には一つクリアしなくてはいけない問題がある。
 優しいホタはあまり自分からお願いをしようとはしない。
 何とか上手く本当のホタの幸せを聞きださなくてはならないのだ――

 いつもの学校からの帰り道、
 家からほど近くの道路でホタの姿を見かけた。
 額に汗を浮かべて手には鞄と大きなスーパーの袋が二つ。
 一歩進むたびに栗色の髪と白いリボンがゆれる。
 これはチャンスだと思った。
「一緒に帰ろうよ、ホタ」
「あ、お兄ちゃん、はい」
 声をかけるとホタは振り返って頷いた。
 その動作にあわせてスーパーの袋に手を伸ばすと、
 ホタは左手の袋を手渡してにっこり笑う。
 だけど続けて右手の袋を受け取ろうとすると
「両方ともなんて悪いです。お兄ちゃん。
 ホタも元気、元気、ですから袋一つぐらい持てます!」
 袋を握り笑顔のまま片手をあげてガッツポーズ。
 だけどホタの幸せについて聞きだすためだ、
 今日に限っては引き下がるわけにいかない。
 まずは自分の鞄をホタへ手渡す。
「え、お兄ちゃん?」
「それと交換、一つと一つで丁度いいでしょ?」
 スーパーの袋を握るホタの手が緩んだ。
 そのタイミングですかさず袋を取ると
 ホタは一瞬の躊躇の後に笑顔を見せてくれた。 
「ありがとうございます。お兄ちゃん!」
 そしてそのまま二人で家路に着く。
 荷物が少なくなったホタは足取り軽く、
 表情も柔らかくなっているように思える。
 今なら聞けるかもしれない。
「ねぇ、ホタ?」
「何ですか、お兄ちゃん」
「ホタの幸せってなにかな?」
「ふふっ、お兄ちゃんが優しいからホタは幸せですよ?」
 ホタはおかしそうに笑う。
 計画失敗。見事にはぐらかされた!


 帰宅後、手を洗い服を着替えてリビングに向かう、
 ホタは一人で夕食の下ごしらえをしていた。
 シャリシャリと規則的な刃物の音がすると、芽をとったジャガイモが水にさらされる。
「お疲れホタ」
「あ、お兄ちゃん、お疲れ様です」
「春風さんは?」
「春風ちゃんなら夕食の材料が足りないのでお買い物をお願いしちゃいました」
 ホタの前のボウルを見ると山ほどのジャガイモにさやいんげん等、
 当然ながら人数の多いうちの家族全員分の食材となると相当な量になる。
 春風さんもいない今、一人で行うとなると相当な時間がかかるのではないだろうか
「こんなにいっぱい大変じゃない?」
「いいえ、大変じゃないですよ。
 ホタはこうやって下ごしらえをしながら――
 今日の料理美味しくできるかな?
 みんなはどんな顔して食べてくれるかな?
 お兄ちゃんは喜んでくれるかな?
 なんて、一人考えているのが好きなんです」
「どのくらい時間がかかるものなの?」
「えーと、残り40分ぐらいでしょうか?」
「なら二人でやれば20分だね」
 カウンターのホタの隣に座りさやいんげんの筋を剥きはじめる。
 これなら包丁がなくても出来るし、足を引っ張る心配もないだろう。
「本当にありがとうございます、お兄ちゃん!」
 これでホタの幸せが聞きだせるなら安いもの。
 黙々とさやいんげんの筋を剥き、
 半分ほど終えたところでもうそろそろ頃合かなと思ってみる。
「ねぇ、ホタ?」
「はい?」
「ホタの幸せって何かな?」
 黙り込んだホタの包丁の音だけが響く、
 考え込んでくれるなら今度こそ聞けるかな?
 ホタがやがて口を開く。
「お兄ちゃんとこうして一緒にご飯の支度をしてると――」
「うんうん」
「まるで新婚さんみたいですね♥ ホタ幸せです!」
 ホタは嬉しそうに笑う。
 計画失敗。恥ずかしくて顔もみれない!

 そうしてホタの幸せを聞き出せないまま、時ばかりが過ぎていく。

「星を護るは天使の使命!――ところでホタの幸せってなんだい?」
「きゃあ、お兄ちゃん似合ってます!変身ポーズをとってくれたら
 ホタ、もっと幸せになれそうです!」
「とにかくやってみる! から、いいかげん教えてよホタ……」(ガッチャ)

「ええい、もうぶしつけだろうが知るか!ホタの幸せって何だ!」
「ホタはお兄ちゃんがおいしそうにご飯を食べてくれるだけで幸せですよ?
 今日のホタ特製、カスタードシュークリームシチューです!」
「あの、これは……」
「食べてくれないんですか?」
「……ちょっと甘いけどおいしいよ。ところでホタの幸せって」
「良かったぁ。お兄ちゃんがおいしそうに食べてくれるだけでホタ幸せです
 おかわりもまだまだありますよ♥」
「……」

 計画はことごとく失敗。
 ホタの幸せを聞きだすことはできなかった。
 ホタのヒーローにはなれそうもない。それが無性に悔しかった。
 それなのに一日中頑張ったせいだろうか疲れ果てた体は休息を求めて、
 ベッドに倒れこむとすぐに眠気が押し寄せてきた。
 ホタの幸せばかり考えていたせいだろうか。
 こんな夢を見た。

 扉の開く微かな音に目覚めると
 ベッドの側にホタが立っていた。
 ホタはこちらに笑顔を向けて語るのだ。

「ありがとうございますお兄ちゃん。今日は本当に嬉しかったです。
 ホタ、幸せについて考えてみたんですけど……よく、わかりませんでした。
 お兄ちゃんと一緒の時間を過ごして何気ないことを話して、  
 みんなのこと、ホタのこともちゃんと気にかけてくれるお兄ちゃんがいて、
 ホタ作ったごはんで幸せになってくれるお兄ちゃんがいて、
 お兄ちゃんの笑顔が家族の皆を笑顔にしてそれがホタは嬉しくて、
 そんな何気ない小さな幸せがホタにはいっぱいあります。
 少しずつ見つかる毎日の小さな幸せがホタの胸の中で大きく育っていく気がします。
 それがどんな時もホタの心を護ってくれているような気がして、
 悲しい出来事があっても最後は家族のみんなで笑えるような気がして、
 だからどんな時だって、ホタは幸せだなぁって、思えちゃいます。
 いつもありがとうございます、お兄ちゃん――ホタのヒーローさん――」

 と毛布を掛けなおしてくれたホタが部屋から去っていく夢だ。

 ホタの言うこともわかる。

 だけど一応こちらも長男なわけで、
 ホタの最高の笑顔が見たいという欲もあるわけで、
 それが毎日の積み重ねだといわれてしまっても困るわけで、

 だから、ホタの幸せを探す計画は失敗したことにしておく、

 答えがなければ
 俺は明日もホタの最高の幸せを探すだろう。
 そして明日もホタの幸せは見つからないとなれば、
 明後日もその先もずっとホタの幸せを頑張って探し続ける。

 その先にホタの最高の笑顔が待っていることを信じ続けて――

 だからコレはただの夢。
 結局、ホタの幸せはわからなかったのだ。
 そして、どうやら――ホタの幸せは一生かけて探す必要がありそうだ。 

(終)
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ちょっと内容的に微妙な気がしつつ、
多忙を理由に遅くしすぎた自分に反省。
ユキユキばかりでもいかんなと思いながらホタホタ

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akio(あきお)

Author:akio(あきお)
とってもゆるい人間が気まぐれに記事を書いたり、書かなかったりします。見てくれる方はあまりいないでしょうが、見て頂けるのでしたらありがたい限りです。
小説っぽいものを出したり、出さなかったりするサークル「妄想ワンコインスタンド」のほったて窓口。メールは aki44013あっとまーくgmail.com まで。twitterはdm_akioまで

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