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遅刻した吹雪お誕生日お祝いSS

長男視点(小説の陽太郎設定準拠)です。
若干シリアス気味のお話です。
色は抑え目にしたつもりですが、ご注意ください。

(2010/02/18追記)
小説3巻を読んだところ、
設定が違ってしまっていたので、
やっぱり小説設定の都合の良いところをとったということでご容赦を

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9月20日午後11時45分――

「これで何とか終わり」
 静まり返った深夜の部屋に、シャープペンシルの転がる音が広がった。
 手元のノートには問題集の答えがずらりと並ぶ。一部の答えが怪しいが気にしない。
 ここで重要なのはシルバーウィークの宿題をこの序盤に終わらせたということ。
 思えば、こんな風に連休の序盤に宿題を終わらせるなんて今までありえないことだった。
 いつも連休最終日になって大騒ぎ、友達で答えを教え合いながら答えをノートに書き殴る。
 この習慣を変えたものは、新しい大切な家族の存在、家族と共に過ごすための時間、
 そして今回の連休はもう一つ――

 とんとん

 部屋の扉が静かにノックされる。
 その規則的な響きに予感のようなものを感じながら答える。
「どうぞ、開いてるよ」
「失礼します」
 扉を開き姿を見せたのは、
 色素の薄い髪、白い肌、西洋人形のように整った顔立ち、
 我が家の十二女、吹雪である。

「夜分遅くにすみません」
「いや別に構わないよ。丁度宿題も終わったところだから」
「……」
「どうしたの吹雪?」

 吹雪は急に黙り込む。
 問いかけると、珍しく躊躇いがちに口を開いた。
 透明感のある声が部屋に小さく響く。

「――誕生日のことです」

 そう、明日9月21日は吹雪の誕生日。
 十数分でその日を迎える今、吹雪がわざわざ尋ねてくる理由はそれしかない。
 明日も昼頃から春風、ヒカル、蛍と秘密のプレゼントを買いに行く予定がある。
 そのためにも宿題を早く終わらせていたのだが、何かバレてしまっただろうか、
 だが吹雪の答えは予想と全く異なっていて――

「何故、誕生日を祝う必要があるのでしょうか?」

 吹雪にそう問われた瞬間、胸の奥がどきりとした。
 だが吹雪はこちらの様子に気付かず言葉を続ける。

「平成21年に発表された厚生労働省の20年度簡易生命表によれば、
 男性の平均寿命は79.29年、女性の平均寿命は86.05年です。
 キミも私も1つ年を重ね、またそれに近づきました」
「それは」
「もちろん悲観主義者のつもりはありません。
 私は家族を愛していて、とても大切に思っています。
 ですが、だからこそ、この暖かい優しい時間に終わりが来ることが――
 私は8歳のお誕生日と言われた時、
 残り78.05年
 =28507.25日
 =684174時間
 =41050440分
 =2463026400秒
 という答えを計算してしまいます。
 キミと過ごせる時間を――
 家族と過ごせる時間を――
 残り時間をわざわざ数える必要があるのでしょうか――」

 吹雪の表情は変わらない。でも何故か悲しそうに見えた。
 吹雪は最後にもう一度問う。

「――何故、誕生日を祝う必要があるのでしょうか?」

 声が出ない。頭を抱えてしまいそうになる。
 だけど吹雪の前でそんなことは出来ない。
 吹雪が悩みを打ち明ける相手にオレを選んでくれたこと、
 その信頼を思えばみっともない姿はさらせない。
 吹雪をまっすぐ見つめ、頭の中で答えを探す。

 だが、どうしても答えが見つからない。
 頭をフル回転させてもカラ回るばかり、
 時計のカチカチという音が耳について焦りばかりがつのる。
 苦し紛れに他の家族ならどう答えるだろうか、と考える。
 ママなら、海晴姉なら、霙姉なら、春風なら、ヒカルなら、蛍なら――
 家族の名前が浮かんでは消え、浮かんでは消え、
 最後に、一つの大切な名前が浮かび、まるで天啓のように答えがひらめいた。
 それは吹雪の問いを聞いた時から、胸の中にあったもの。

『ばーちゃん、オレにはとーちゃんもかーちゃんも居ないのに誕生日なんて意味ないよ!』

 意を決めて吹雪を見る。
 吹雪はじっとこちらを見つめていた――答えを求めて
 だからこちらも今出来る精一杯を返したいと思う。
 口を開く。「いい、吹雪?」吹雪は頷いた。

「誕生日は一年を祝って家族でパーティするけれど、歳の数を数えて祝うだけじゃないんだ」
『世間での誕生日は家族で誕生日を祝う日だけど、おばあちゃんにはそれだけじゃないわ』

「この一年、 オレ達家族みんなが一緒に過ごしてくれて『ありがとう』って気持ちを吹雪に伝える日なんだよ」
『この一年、こんなおばあちゃんと一緒に過ごしてくれて『ありがとう』という感謝の気持ちを伝えているのよ』

「そして、吹雪と次の一年も一緒に、幸せにずっと一緒に居られますようにってお祈りする日なんだ」
『そして、できればまた来年も一緒に居られますようにっておばあちゃんが勝手にお祈りしている日』

「そう、その先もずっとずっとみんなが一緒に過ごせますように、吹雪に幸せが訪れますように――」
『そう、その先もずっとずっとみんなが一緒に過ごせますように、貴方に幸せが訪れますように――』

「って――」
 胸の奥が痛む。
 かつて幸せをくれた人のことを思う。
 ずっとずっと一緒にいたかった。あの祈りはどこに行ったのか――
 言葉が途切れた。静かになった部屋に時計の音だけが響く。
 それを認めて吹雪が口を開く。

「キミは――」
「え?」
「キミも、私に居てくれて嬉しいと、この先ずっと一緒に過ごしたいと――祈ってくれますか?」
「勿論だよ、吹雪。オレは吹雪と会えて、一緒に過ごせて幸せだよ。ずっと一緒にいたいと思ってる」 

 返答は自然に出た。
 どんなに切なくても今の家族を愛する気持ちは変わらない。
 吹雪は胸に手を当て何か考えている様子だったが、そっと一息。

「私はキミのその言葉が聞きたくて、ここに来たのかもしれません――」

 一際高くカチリと音が響く。時計の短針が0時を告げていた。

「吹雪、お誕生日おめでとう――」
「ありがとうございます、兄さん――」

 そうして吹雪はお辞儀を一つ。早々に部屋を出て行った。
 だけど扉を閉じる時、壁と扉の隙間に見えたもの。
 それは口元を軽く緩ませた――吹雪の笑顔のように思えた――

「ふぅ」

 何だかひどく気疲れしてベッドに倒れこむ。
 このまま目をつぶれば、朝までぐっすり気持ちよく眠れそうな気がした。
 吹雪の笑顔を見てから、胸はもう痛くない。
 
 叶わなかったばーちゃんの祈り、オレもずっと一緒にいたかった。
 でも、その祈りが今の家族を助けるのなら、幸せに繋がるのなら
 ばーちゃんは今も――ずっと一緒にいてくれるのだと思う。
 そして新しい家族と一緒で、幸せな今でも、ずっとずっとこれからも、
 ばーちゃんはオレの家族だよ――

 ようやく宿題を終えたような気がした。
 
(終)

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何だか、書いた後で思い出すものがあるなーと思ったら
リアルバウトハイスクールの南雲先生と美雪のお誕生日トークだなと気付く。
まー、何も意識せず書いてたのですが、脳の知らんところから出てる可能性もあるので、
気になる人はパロなりオマージュなりという認識でどうぞ。

個人的な趣味としては
兄として
良いこと
言い隊!
AYI!
何のことやら、
星花には陽太郎に良いこと先に言われちゃったので
オレはふぶふぶに言う!

(2010/02/18追記)
いやはや小説3巻でばーちゃんの口調があんなのだとは夢にも思わず。
原作乖離をやらかしてしまったので切腹をしたくなる所存。
なのでこれは私のおばーちゃんということで!

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プロフィール

akio(あきお)

Author:akio(あきお)
とってもゆるい人間が気まぐれに記事を書いたり、書かなかったりします。見てくれる方はあまりいないでしょうが、見て頂けるのでしたらありがたい限りです。
小説っぽいものを出したり、出さなかったりするサークル「妄想ワンコインスタンド」のほったて窓口。メールは aki44013あっとまーくgmail.com まで。twitterはdm_akioまで

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